出荷から6年を過ぎたいまでも特筆すべき、Lowモードの光量の安定性と重量比の性能
近年のブルベはもっぱらVOLT800を使っていました。
Contents
総評
後述の計測の結果を踏まえ、まず、このライトの良い点・いまいちな点、およびおすすめできる人について記載します。
✅良い点
・11時間以上、実用的な明るさの安定した光量が出るLowモード。
・光量・点灯時間・重量を総合的に捉えた性能としては、Lowモードは出荷後6年以上経過した2022年2月時点でも他機種と比較してトップクラス。
❌いまいちな点
・光量が大きく変動するため適した用途が少ないHiモード。
・点灯中に出力される累計の光量の観点では、HiモードはLowより大幅に劣る。
このライトはこういう人におすすめ
丸一晩のような長時間のサイクリングの間、実用的で安定した光量のライトを用いたい人
通勤通学等のような短時間のライドを繰り返す際に充電回数を減らしたい人
計測結果の概要
計測結果の概要として、(実測)ルーメン総出力・ウェイト・レシオ(LWR)の値を取り上げます。
このLWRは光量(全光束)・点灯時間・ライト重量のすべてを加味した、総合的な性能を表す指標です。
また、LWRを他のライトと相対的に比較した偏差値も記載します。
(偏差値は他のライトの評価結果が増えるにつれ、今後も随時変動します)
モード | (実測) ルーメン総出力 ・ウェイト ・レシオ (LWR) | LWR偏差値 |
---|---|---|
Hi | 9.14 | 49 |
Middle | 11.8 | 57 |
Low | 14.51 | 66 |
Lowモードは他の機種と比較しても優れたLWRを発揮しています。
一方でHiモードは平均的なLWRです。
最も光量の高いモードでLWRが減少するのは、キャットアイの同シリーズの機種であるVOLT1700でも同様でした。
これはHiモードの場合は発熱による損失が大きいためと思われます。
損失が大きいと電流を光へ変える際の効率が下がります。
点灯時間と平均ルーメン
点灯時間
モード | (公称) 点灯時間 | (実測) 点灯時間 |
---|---|---|
Hi | 2 | 2.12 |
Middle | 3.5 | 3.89 |
Low | 8 | 11.01 |
Lowモードでは実測点灯時間が公称値を37%ほど上回ります。
HiおよびMiddleでも公称値より若干長い点灯時間です。
平均ルーメン
モード | (公称) ルーメン | (実測) 平均 ルーメン |
---|---|---|
Hi | 800 | 659 |
Middle | 400 | 464 |
Low | 200 | 202 |
Middleモードの平均ルーメンは公称値を3割ほど上回ります。
Lowモードは公称値とほぼ同じです。
計測結果の詳細
(1) Hiモード (公称: 800ルーメン・2時間)
実測点灯時間は2時間7分です。
公称値を若干上回わる時間ですが、点灯中に光量が減少し続けます。
かつ、点灯開始から12分後と28分後に、一時的にルーメン値が急減し、およそ7分間で回復する現象が起きています。
再計測しましたが同じ現象が起きました。
発熱のため保護回路が作動したのかもしれません。
光量が急減したときのルーメン値はMidモードの平均も下回っています。
(2) Midモード (公称: 400ルーメン・3時間30分)
実測点灯時間は3時間53分です。公称値を若干上回わる時間です。
ただし3時間23分から光量が急速に減少していきます。
点灯開始から3時間23分までの間は、公称値より2割ほど高いルーメン値を安定して出力しています。
(3) Lowモード (公称: 200ルーメン・8時間)
実測点灯時間は11時間0分です。一晩の長さに匹敵する時間にわたって点灯します。
点灯終了の直前まで、公称値の200ルーメンをわずかに上回る光量を発生します。
実効200ルーメンの明るさは、高速なダウンヒルなどハードな利用場面を除けばかなりの走行状況をカバーできると考えます(個人差あります)。
まとめ
Lowモードの光量の安定性と点灯時間の長さの点で秀でており、最新の機種(2022/2時点)と比較しても優れた性能となっています。
バッテリーが容易に交換できる構造と相まって、いまだに長時間の夜間サイクリングに最適な選択肢となるライトです。
ただし、Hiモードは光量の急減が発生しやすいこと、および光量・点灯時間・重量を総合的に捉えた性能の観点ではいまひとつです。
(参考) 基本スペック
名称
品名 | 型番 | メーカー名 |
---|---|---|
Volt800 | HL-EL471RC | Cateye |
重量
(実測)グラム数にはバッテリー・アタッチメントの重量を含む。
(公称)グラム数にそれらの重量を含むかはメーカーにより異なる。
(実測)グラム数 | (公称)グラム数 |
---|---|
153 | 140 |
その他スペック
(公称)防水・防塵等級 | 充電端子 | バッテリータイプ |
---|---|---|
IPX4 | Micro USB | 交換可能 専用Li-ion |
(参考) 本体仕様
実測重量は153g。
内訳はライト本体が62g、バッテリー73g、アタッチメント18g。
BA-3.4というバッテリーが付属しています。
以下のようなパッケージで別売もされています。
VOLT800は複数所有していますが、今回は測定にあたり新品のバッテリーを購入しました。
仮に、予備バッテリーを含めてルーメン総出力・ウェイト・レシオ(LWR)を計算するとします。
予備1個を含めた場合、LOWモードでのLWRは19.6という非常に高い値となります。
2晩を越すようなロングライドでは予備バッテリーを持てば、本体+バッテリー一体型のライトを複数持つよりも重量面のメリットがあります。
なおVOLT800の2015年の発売当初はBA-3.1という、BA-3.4より若干容量の小さいバッテリーが付属していました。2017年からBA-3.4となっています。
ちなみにBA-3.1のときはLowモードの点灯時間は以下のようにBA-3.4より若干短い結果でした。(縦軸がルクスなのと、現在の測定条件より若干低温なので厳密な比較はできないですが)。
(参考) 充電仕様について
充電端子はmicroUSBです。最近のUSB type Cの機種に比べると古さを感じます。
点灯中の充電もできません。
なお、この端子部分はしっかり蓋をしておかないと、雨水が容易に侵入して動作不良を起こすことがあります。
ハンドルバーの下側への取付は取扱説明書では可能と書かれていますが、端子が上向きとなり雨水侵入の可能性が増すため要注意です。
近年の長距離ライドで使うときは、蓋の上からさらにビニールテープで巻きました。
バッテリーの充電時にインジケーターが点きます。取扱説明書には以下の記載があります。
「点灯」と「ゆっくり点滅」があり、ゆっくり点滅のほうが急速充電です。急速でも1AでしかなくUSB type Cの機種の充電に比べて遅いですが、急速充電のほうが充電時間が大幅に短縮できるため、このインジケーターの表示に留意する必要があります。
容量が大きい充電器を使っていても、ケーブルとの相性のためか低速充電になってしまうことが容易に起きます。
メーカーの製品情報と販売サイトへはこちらから
品名 (レビューへのリンク) | メーカー名 (製品ページへのリンク) | 販売サイトへのリンク | |||
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Volt800 (HL-EL471RC) | Cateye (キャットアイ) |
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