実測の光量・点灯時間・重量を総合的に捉えると、販売開始から5年経過した今でもトップクラスの性能
VOLT1700は、光量が大きいけれど重い、という印象が強かったライトです。
そのため私自身も所有はしていたもののこれまで利用していませんでした。
実際のところ重さに比べて持続時間と明るさはどうなのかを確認しました。
Contents
総評
後述の計測の結果を踏まえ、まず、このライトの良い点・いまいちな点、およびおすすめできる人について記載します。
✅良い点
・ルーメン総出力・ウェイト・レシオ(LWR)が、これまで(2022/2時点)測定した全てのライトの中でトップ (LOWモードの場合)
ー>明るくて持つけど重いライト、ではなく、重さ以上に明るくて持つライト
・LOWモードとMIDDLEモードは点灯中のほとんどの時間において公称値よりも大幅に(40%以上)明るい
❌いまいちな点
・HIGHモードは発熱による損失が大きいために、点灯時間・光量の面でお得ではない
・充電時間が他のライトに比べて長い(6〜15時間)
このライトはこういう人におすすめ
深夜から朝方まで走るようなロングライドで、長い点灯時間と大きな光量のメリットを得たい人
通勤のような短時間・高頻度のライドを繰り返すが、充電の頻度を抑えたい人
多少のハンドル周りの重量増は許容できる人
計測結果の概要
ライトの計測結果の概要として、(実測)ルーメン総出力・ウェイト・レシオ(LWR)の値を取り上げます。
このLWRは光量(全光束)・点灯時間・ライト重量のすべてを加味した、総合的な性能を表す指標です。
また、LWRを他のライトと相対的に比較した偏差値も記載します。
(偏差値は他のライトの評価結果が増えるにつれ、今後も随時変動します)
モード | (実測) ルーメン総出力 ・ウェイト ・レシオ (LWR) | LWR偏差値 |
---|---|---|
HIGH | 9.23 | 49 |
MIDDLE | 13.01 | 61 |
LOW | 16.96 | 74 |
LOWモードはLWR偏差値が72と、現時点(2022/2)においてこれまで測定したライトの中で最も高い数値を示しています。
トータルの出力光量と点灯時間、重さを加味した性能は最も優れています。
逆にHIGHモードのLWR偏差値はほぼ平均的な値です。
ところで、点灯モードによってLWRが大幅に異なることについて不思議に思った方もいるかもしれません。
このライトでは、HIGHモードのルーメン総出力がLOWモードに比べて大幅に減っています。
そのためLWRの値もHIGHの場合に小さくなっています。
これについてはレビューの最後に考察を記載します。
点灯時間と平均ルーメン
まず点灯時間についてです。
モード | (公称) 点灯時間 | (実測) 点灯時間 |
---|---|---|
HIGH | 2 | 1.81 |
MIDDLE | 5 | 4.41 |
LOW | 15 | 16.31 |
いずれのモードも公称と近い実測点灯時間です。
次に平均ルーメンです。
モード | (公称) ルーメン | (実測) 平均 ルーメン |
---|---|---|
HIGH | 1700 | 1384 |
MIDDLE | 500 | 803 |
LOW | 200 | 283 |
特にMIDDLEモードとHIGHモードは、公称より大幅に(4割から6割増)光量が大きくなっています。
計測結果の詳細
①HIGHモード (公称: 1700ルーメン・2時間)
実測点灯時間は1時間48分です。
点灯中になだらかに光量が落ちて行きます。
そのため、点灯時間中に高いルーメンが維持できると考えると期待が外れます。
公称光量の1700ルーメンを超えているのは、点灯開始から17分間です。
② MIDDLEモード (公称: 500ルーメン・5時間30分)
実測点灯時間は4時間24分です。若干早い4時間11分から光量が急に減り始めています。
特筆すべき点は、点灯開始から点灯終盤までほぼ同じ光量が持続する点です。
かつ、その光量が公称ルーメン値よりも6割以上高い値となっています。
③LOWモード (公称: 200ルーメン・15時間)
実測点灯時間は16時間18分と、公称時間の15時間を上回っています。
MIDDLEモードと同様に特筆すべき点は、点灯開始から点灯終盤までほぼ同じ光量が持続する点です。
かつ、その光量が公称ルーメン値よりも4割ほど高い値となっています。
まとめ
LOWモードとMIDDLEモードは公称ルーメン値より大幅に(4割〜6割増)高い光量を点灯時間中維持し続けます。
加えて、特にLOWモードは16時間と長い間持ちます。
ロングライドのほか、通勤通学のように高頻度の利用を行う場合もメリットが得られると思います。
一方でHIGHモードは公称光量以上のルーメン値が持続する時間が短いことと、使用中に継続的に光量が落ちていきます。
そのため、利用に適した場面は限られると感じます。
ここ数年私自身の利用ライトは主にVOLT800でした。
しかしVOLT1700を使用した方がロングライド時に携行する予備電池も少なくて済んだかもしれません
(参考) 基本スペック
名称
品名 | 型番 | メーカー名 |
---|---|---|
VOLT1700 | HL-EL1020RC | Cateye |
重量
(実測)グラム数にはバッテリー・アタッチメントの重量を含む。
(公称)グラム数にそれらの重量を含むかはメーカーにより異なる。
(実測)グラム数 | (公称)グラム数 |
---|---|
272 | 256.3 |
その他スペック
(公称)防水・防塵等級 | 充電端子 | バッテリータイプ |
---|---|---|
IPX4 | Micro USB | 交換可能 専用Li-ion |
(参考) パッケージングおよび本体
本体と付属品一式。2年保証付き。
充電はMicro USBです。
実測重量 272g
例えばVOLT800と比べて、ハンドル周りの重量が119g増えます。
充電方法についての説明です。
USB充電器の能力が高い場合には急速充電が可能です、との記載があります。
ただし、VOLT1700では充電中のランプ点灯状態によって急速充電なのかそうでないのかを判別することができません。
急速充電ではない場合は大幅に充電時間が延びます(急速充電6時間→最大15時間)。
同系列の製品であるVOLT800では、急速充電の場合にはランプが点滅状態となります。
十分に電流を流せる充電器であってもケーブル等の相性により急速充電とならないことがあるため注意が必要です。
そろそろ安定した高電流が流せるUSB-Cを用いた後継製品に期待したいところです。
(考察) なぜルーメン総出力がモードによって異なるのか?
光量が少ない場合は点灯時間は長くなります。
一方で光量が多い場合は点灯時間は短くなります。
ライトのバッテリーは蓄電した一定の容量を放出します。
そのため、ルーメン総出力(ライトが放出するルーメンの総量)はモードによらず同様になると考えるのが自然です。
実際にそのようなライトも多いです。
例えば以下のLITE DRIVE 1000XLの場合、モードによらずルーメン総出力は比較的近い値となっています。
品名 | メーカー名 | モード | (実測) ルーメン 総出力 |
---|---|---|---|
LITE DRIVE 1000XL | LEZYNE | BLAST | 1245 |
LITE DRIVE 1000XL | LEZYNE | ENDURO | 1296 |
LITE DRIVE 1000XL | LEZYNE | ECONOMY | 1332 |
ところが、ライトのLEDと回路は、流れる電流が多い場合に発光の効率が悪くなり、その分熱になってしまうことがあるのです。
実際、VOLT1700はHIGHモードを用いると、手で触れ続けられないくらい熱くなります。
本来光になるべきエネルギーが熱としてかなりの部分逃げてしまっています。
結果として、HIGHモードではルーメン総出力の値が以下のように他のモードと比較して低くなります。
品名 | メーカー名 | モード | (実測) ルーメン 総出力 |
---|---|---|---|
VOLT1700 | Cateye | HIGH | 2511 |
VOLT1700 | Cateye | MIDDLE | 3538 |
VOLT1700 | Cateye | LOW | 4612 |
メーカーの製品情報と販売サイトはこちらから
品名 (レビューへのリンク) | メーカー名 (製品ページへのリンク) | 販売サイトへのリンク | |||
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VOLT1700 (HL-EL1020RC) | Cateye (キャットアイ) |
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