おそらくAMPP300とハードウェアは同一で、異なる点灯特性を持つよう設定されたライト。光量が安定しており、かつ公称値が正直。
キャットアイのAMPPシリーズには、点灯時間や光量の別に複数のライトがあります。
ですが、どれを購入すべきか悩むことがあります。特にAMPP300とAMPP500は製品のサイズと電池容量がカタログを見る限り全く同一です。
そこで実際の性能を確認するため、積分球とスペクトラム解析装置を用いてAMPP500の光量・点灯時間を測定しました。また、AMPP300の性能数値との比較を行いました。
結果わかったのは、AMPP300より点灯が短時間である一方、ルーメン値は高く設定されている点です。
光量と点灯時間についてAMPP500と300ではバランスが違う設定がされており、利用用途によってどちらが適しているかが変わってきます。
この記事を読むと、カタログスペックではない、AMPP500の光量推移・点灯時間の実際を理解できます。
Contents
総評 〜 明るく、かつダラ落ちしない安定した光量を発揮
後述の計測の結果を踏まえ、まず、このライトの良い点・いまいちな点、およびおすすめできる人について記載します。
✅良い点
- 点灯開始から終盤まで、ダラ落ちしない安定した光量が持続する。
- 公称値を十分充足するルーメン値、点灯時間。
- 短時間(Lowモードで3時間半程度)の利用想定であれば十分な明るさを得られる。
❌いまいちな点
- Lowモードでも4時間を超えない点灯時間のため、ロングライドの使用には向かない。
このライトはこういう人におすすめ
- コンパクトなライトを用いて、通勤など短時間の利用用途で十分な明るさを得たいと考え、かつ充電頻度が多くなっても問題ではない人。
- ダラ落ちや急減をしない安定した光量を得たい人。
計測結果の概要 〜 光量・点灯時間・ライト重量をトータルで捉えた性能は平均レベル
ライトの計測結果の概要として、(実測)ルーメン総出力・ウェイト・レシオ(LWR)の値を取り上げます。
このLWRは光量(全光束)・点灯時間・ライト重量のすべてを加味した、総合的な性能を表す指標です。
また、LWRを他のライトと相対的に比較した偏差値も記載します。
(偏差値は他のライトの評価結果が増えるにつれ、今後も随時変動します)
モード | (実測) ルーメン総出力 ・ウェイト ・レシオ (LWR) | LWR偏差値 |
---|---|---|
HIGH | 8.23 | 46 |
LOW | 10.12 | 52 |
トータルの出力光量と点灯時間、および重さを加味した総合的な性能は、他の製品と比較して平均レベルです。
点灯時間と平均ルーメン 〜 点灯時間と平均ルーメンのいずれも公称値を上回る
① 点灯時間
モード | (公称) 点灯時間 | (実測) 点灯時間 |
---|---|---|
HIGH | 1.5 | 1.94 |
LOW | 3 | 3.79 |
いずれのモードでも実測点灯時間が公称値を2割以上回っています。
② 平均ルーメン
モード | (公称) ルーメン | (実測) 平均 ルーメン |
---|---|---|
HIGH | 500 | 506 |
LOW | 250 | 318 |
HIGHモードの実測平均ルーメンはほぼ公称値通りの値です。
LOWモードの実測平均ルーメンは公称値を2割以上上回っています。
計測結果の詳細 〜 公称値を上回る安定した光量が続く
① HIGHモード (公称: 500ルーメン・1.5時間)
点灯時間の大部分は公称ルーメン値を上回っています。かつ安定した光量が持続します。
点灯開始から20分間ほどルーメン値が減少していきますが、公称値より高い値で下げ止まります。
公称ルーメン値をよく見せかけるライトが点灯開始だけ高い光量にするケースはよくあります。一方でこのライトの場合は下がったところでも公称値をカバーしています。信頼できるスペックです。
② Lowモード (公称: 250ルーメン・3時間)
点灯時間の大部分は公称ルーメン値を60ルーメン以上 上回っています。かつ安定した光量が持続します。
AMPP300との比較 〜 総合的な性能は同様で、点灯時間と光量のバランスを変えている
キャットアイで同一シリーズのAMPP300のスペックと見比べるうちに気づいた点があります。
この2機種は、重量、サイズ、電池容量の公称スペックが全く同じです。
AMPP300 取扱説明書
AMPP500 取扱説明書
外観のデザインも見る限り同一です。
そこで、ルーメン総出力の値を比較することにします。
ルーメン総出力は、ライトが点灯時間中に発生させた、累計の光量 (= 点灯時間 * 平均ルーメン)のことです。
AMPP300
モード | (実測) ルーメン 総出力 |
---|---|
HIGH | 1127 |
LOW | 1314 |
AMPP500
モード | (実測) ルーメン 総出力 |
---|---|
HIGH | 979 |
LOW | 1204 |
ルーメン総出力を比較すると、AMPP300 LOW > AMPP500 LOW > AMPP300 HIGH > AMPP500 HIGH の順です。
両機種で値が拮抗しています。
片方の機種がもう片方より全モードで優れている、ということがないです。
なお、ライトの色味を表す色温度は、AMPP300のHIGHで平均5691K、AMPP500のLOWで平均5565Kとなっており近い値でした。
おそらく、この両機種はハードウェア的には同一で、異なる点灯特性 (点灯時間、ルーメン値推移)を持つようにソフトウェアで制御しているのだと想像します。
相対的にこの2機種間では、ルーメン値はAMPP500が優れ、点灯時間はAMPP300が勝るという特性が与えられているように見えます。
まとめ 〜 点灯時間は比較的短いものの、軽量で、十分かつ安定した光量のメリットを得られるライト
点灯時間の大部分において、安定した光量が持続します。
加えて、公称値を上回る点灯時間・ルーメン値となっています。利用にあたりスペックに記載のルーメン値・点灯時間を信用することができるライトです。
LOWモードでも最長4時間も点灯しないため、ロングライドでの利用には不向きです。
一方で、例えば通勤に用いて帰宅後につど充電するようなルーチンが組める場合は、AMPP500 の軽量さと十分な光量の恩恵を受けられると思います。
なお今回評価した結果に基づくと、AMPP300はAMPP500の下位性能ということはないです。より長時間点灯して欲しいが若干低いルーメン値でも問題ない、という利用用途においては、AMPP300の採用が適している場合があります。
(参考) 基本スペック
名称
品名 | 型番 | メーカー名 |
---|---|---|
AMPP500 | HL-EL085RC | Cateye |
重量
(実測)グラム数にはバッテリー・アタッチメントの重量を含む。
(公称)グラム数にそれらの重量を含むかはメーカーにより異なる。
(実測)グラム数 | (公称)グラム数 |
---|---|
119 | 117 |
その他スペック
(公称)防水・防塵等級 | 充電端子 | バッテリータイプ |
---|---|---|
IPX4 | Micro USB | 内蔵 |
(参考) パッケージングおよび本体
パッケージの外観です。
AMPP500は店頭販売限定のAMPP300と異なり、ネット通販で購入可能です (2022/5現在)。
本体および付属品一式。
実測重量は119g。
内訳はライト本体が101g、固定具(フレックスタイト)が18gです。
AMPP500、AMPP300ともに公称重量は117gです。
一方で実測ではこのAMPP500は119gで、AMPP300は122gです。
製造の誤差があるのかもしれません。
充電端子はMicro USBです。実計測はしていませんが充電時間は長めに感じました。
そろそろUSB type Cかつ高速に充電ができる機種が望まれるところです。
メーカーの製品情報と販売サイトへはこちらから
品名 (レビューへのリンク) | メーカー名 (製品ページへのリンク) | 販売サイトへのリンク | |||
---|---|---|---|---|---|
AMPP500 (HL-EL085RC) | Cateye (キャットアイ) |
コメントを残す