点灯時間中に出る光の総量はRN1500を凌ぐ
公称スペックよりも高い、安定した光量のメリットを得られるライトです。
光量と持続時間、光の色の特性についてRN1500との比較も行いました。
Contents
総評
後述の計測の結果を踏まえ、まず、このライトの良い点・いまいちな点、およびおすすめできる人について記載します。
✅良い点
・光量・点灯時間・重量を総合的に捉えると、このライトのLOWモードはこれまで評価したOLIGHTの機種(RN1500, RN800, RN400)の中で最も優れている。
・OLIGHTのこれまで計測した機種の中では唯一、公称値以上の光量が継続する。
❌いまいちな点
・若干暖色寄りの光であるため、シャープな白色〜青白い色を好む人には合わない場合あり。
・点灯時間がわずかに公称値を下回る。ただし大きな差ではないです。
このライトはこういう人におすすめ
・日没から夜半までのようなライド(最長でも8時間弱程度)向けに、出力の大きい安定した光量を得たい人。
計測結果の概要
計測結果の概要として、(実測)ルーメン総出力・ウェイト・レシオ(LWR)の値を取り上げます。
このLWRは光量(全光束)・点灯時間・ライト重量のすべてを加味した、総合的な性能を表す指標です。
また、LWRを他のライトと相対的に比較した偏差値も記載します。
(偏差値は他のライトの評価結果が増えるにつれ、今後も随時変動します)
モード | (実測) ルーメン総出力 ・ウェイト ・レシオ (LWR) | LWR偏差値 |
---|---|---|
HIGH | 9.97 | 51 |
MID | 12.92 | 61 |
LOW | 15.07 | 68 |
LOWモードは他の機種と比較しても優れたLWRを発揮しています。
特筆すべきことに、より高額の上位機種であるRN1500よりもLOWモードのLWRは高いです。
(参照: (実測)ルーメン総出力・ウェイト・レシオ(LWR)のランキング)
一方で、MIDモード、HIGHモードとなるにつれ、RN800のLWRの値は低下します。
これは光量の大きいモードの場合、電流が損失として熱に変わってしまっているためと思われます。
点灯時間と平均ルーメン
(1) 点灯時間
モード | (公称) 点灯時間 | (実測) 点灯時間 |
---|---|---|
HIGH | 2 | 2.07 |
MID | 4 | 3.95 |
LOW | 8 | 7.82 |
いずれのモードも、公称値の98%〜104%の点灯時間です。
驚くほど公称値に近い時間となっています。
(2) 平均ルーメン
モード | (公称) ルーメン | (実測) 平均 ルーメン |
---|---|---|
HIGH | 800 | 843 |
MID | 400 | 572 |
LOW | 200 | 337 |
全モードにおいて実測平均ルーメンが公称値を上回っています。
特にLOWモードの実測値は公称値の68%も高い値です。
計測結果の詳細
(1) HIGHモード (公称: 800ルーメン・2時間)
実測点灯時間は2時間4分です。その少し前の1時間53分に光量が急減しています。
点灯時間の大部分は公称ルーメン値を上回っています。
(2) MIDモード (公称: 400ルーメン・4時間)
実測点灯時間は3時間56分です。その少し前の3時間45分に光量が急減しています。
点灯時間の大部分は580ルーメン程度出ており、公称ルーメン値の4割以上も高い値です。
(3) LOWモード (公称: 200ルーメン・8時間)
実測点灯時間は7時間49分です。点灯中に光量の大幅な減少はありません。ライトが消える瞬間まで安定した光量が持続します。
点灯時間の大部分は330ルーメン以上出ています。
RN1500との比較① 〜LOWモードでの光量と持続時間〜
RN800のLOWモードの光量は高く、かつ安定しています。
OLIGHTの人気機種であるRN1500と、LOWモードの実測値同士で比較を行いました。
RN800 LOWモード
(実測) 点灯時間 | (実測) 平均 ルーメン | (実測) ルーメン 総出力 | (実測) ルーメン総出力 ・ウェイト ・レシオ (LWR) |
---|---|---|---|
2.07 | 843 | 1744 | 9.97 |
3.95 | 572 | 2260 | 12.92 |
7.82 | 337 | 2637 | 15.07 |
RN1500 LOWモード
(実測) 点灯時間 | (実測) 平均 ルーメン | (実測) ルーメン 総出力 | (実測) ルーメン総出力 ・ウェイト ・レシオ (LWR) |
---|---|---|---|
2.14 | 1121 | 2395 | 13.38 |
5.59 | 465 | 2600 | 14.52 |
13.11 | 196 | 2573 | 14.37 |
RN800のルーメン総出力(=点灯時間中の光量の総量)は、上位機種であるRN1500の値を上回っています。
この2機種は重量差も小さいため (RN1500が4gだけ重い) 、重量を加味した性能数値であるLWRの値もRN800が優れています。
RN800のルーメン総出力がRN1500より大きいということは何を意味するのか?
わかりやすくするために、両方のグラフを重ねてみました。
RN800のルーメン総出力=赤い部分の面積
RN1500のルーメン総出力=青い部分の面積
これらを比べると、RN800の方が若干大きくなっています。
RN800は点灯後330ルーメン以上で安定しています。一方でRN1500は時間は長いものの、点灯初期を除いて200ルーメンに達していません。
RN800のほうが点灯時間は短いものの、光量は点灯時間の全域にわたって大きくなっています。
結果としてルーメン総出力とLWRはRN800のほうが良好な値となっています。
夜通し走る続けるようなロングライドを除くと、日没から遅くとも夜半まで点灯すれば十分というケースは多いと思います。
そのような場合はRN1500ではなくRN800を使うと、より高いルーメン値のメリットを得られます。
加えて、RN800はRN1500と異なり、点灯直後のみ非常に明るいということがありません。安定した光量が続くライトは使い勝手が良いです。
RN1500との比較② 〜光の色の特性〜
目視での確認
この2機種で約1.5倍以上違うルーメン値だと、見え方がどの程度異なるのか、夜間に屋外へ持ち出して見比べてみました。
RN1500は点灯直後は明るいため、30分以上経過したあとで20〜30m離れたターゲットに照らして確認しました。
結果、ルーメン値通りにRN800の方が明るく照らされていることが理解できました。
ただし、相互に見比べてみると、RN1500は一般的なLEDの白色ですが、RN800のほうは暖色系が混じっているように感じました。
好みの問題ですがRN800の色合いは個人的にわずかに違和感があります。
以下の写真の左がRN1500、右がRN800です。なんとなくRN800のほうが赤みを帯びた暖色になっているのがわかりますでしょうか?
・・って、この写真だとほとんど判別できませんね。
(なお、用いたカメラが露出を自動的に補正してしまっています。そのため、この写真では光量や照射範囲の比較はできません)
解析装置の出力での確認
写真ではわかりづらいため、光に含まれる赤・緑・青の割合をスペクトラム光束解析装置の出力結果から確認しました。
点灯開始から40分後の時点の光をサンプリングしました。
それぞれの図の十字印の場所は、各々のライトが出す光に含まれる赤・緑・青の割合を示します。
RN800のほうが若干赤色寄りになっています。
また、色温度がRN1500は6365Kで、RN800は5647Kでした。色温度が低いと暖色系であることを示します。
結果、RN800のほうが赤みを帯びた暖色系の色合いになっていることが計測結果からも判別できました
暖色系の色合いは、くっきり感が少し薄まるように感じました。この光は人によって好みが分かれると思います。
まとめ
LOWモードは上位機種と比較しても、点灯時間に出力されるトータルの光量が大きく、重量比での性能も優れています。
最長8時間弱というLOWモードの点灯時間が利用用途に合う場合はこのライトはおすすめできます。
加えて、点灯時間直後のみ明るいということもありません。安定した光量が続くため、使い勝手が良いライトです。
なお光が若干暖色系寄りです。人により好みが分かれると思います。
(参考) 基本スペック
名称
品名 | メーカー名 |
---|---|
RN800 | OLIGHT |
重量
(実測)グラム数にはバッテリー・アタッチメントの重量を含む。
(公称)グラム数にそれらの重量を含むかはメーカーにより異なる。
(実測)グラム数 | (公称)グラム数 |
---|---|
175 | 156 |
その他スペック
(公称)防水・防塵等級 | 充電端子 | バッテリータイプ |
---|---|---|
IPX6 | USB Type-C | 内蔵 |
(参考) 本体仕様
実測重量は175g。
内訳はライト本体が160g、アタッチメントが15g。
初めて使用する際の注意事項が外装にシールで記載されています。
この仕様は途中で追加されたのか、添付されている取扱説明書には記載がないです。
付属品一式。RN1500やRN400と全く同じに見えます。
取扱説明書に記載されている公称スペックです。
ちなみにLOW、MID、HIGHの各モードとも、公称のルーメン値と時間の積が1600になります。
(RN1500ではモード間でこの積は一致しません)
実測でのルーメン値と点灯時間を乗じた値(=当サイトでルーメン総出力と呼ぶ)は、全てのモードにおいてこの1600という値よりも大きい結果となりました。
メーカーの製品情報と販売サイトへはこちらから
品名 (レビューへのリンク) | メーカー名 (製品ページへのリンク) | 販売サイトへのリンク | ||||
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RN800 | OLIGHT (オーライト) |
ローモードでダラダラ使う私としてはとても良い比較結果に思いました。
色温度も低いほうが目が疲れなくて良いのでRN800も持っておいても良いかもしれません。
特に単体で使うにはRN800ローのほうが使いやすい明るさと思われます。
RN1500単体ローでは無街灯の川べり走るのは少し不足を感じます。
確かに色温度が低いほうが目にやさしい感じもしますね。
400km+のブルベのように一晩中走ると点灯時間が不足しますが、若干遠出の日帰りサイクリングには十分なランタイムだと思います。